■オープニングフェイズ RL: では、今回のレギュレーションを発表します ・PS/ペルソナPS&トゥルーPS ・切り札/RL切り札 ・ワークス ・ブランチ を解禁します。 銀糸: 私さ、切り札って好かないんだよね。 RL: 師匠。強気発言ですね 銀糸: いや、ロートル言われて結構なんだけど“見せ場”って偶然来ないと燃えないのよね。というか、「使い所見逃したまま」終わっちゃいそうだし RL: 分かりました。ローカルルールとして“切り札”の保持は自主性とします ※この結果、銀糸・倉田水脈・金川仁が切り札を山に戻した シーン:1 【チャクラ】  舞台:『千早重工次世代戦略室』 千早重工の中に通称:箱庭と呼ばれるフロアがある。 そこには千早重工の“小皇帝”が住まうとされ、 その中は、すべて千早基を中心とし、彼を満足させるためだけのために動いており社長といえども提案・要請はできても指示・命令はできないとさえ言われている  なぜこのような部署が切り捨てられないのか? 理由はただ一つ。このようにふざけた組織が、“だれもが無視できない”成果を上げているからだ。  そして、その箱庭に一つの情報が持ち込まれた RL(クグツ): 「室長、ご報告申し上げます。 査察部の内偵からの情報によれば、先日『イワサキ』との新技術を巡る大規模な抗争が発生し、査察部が戦争に勝利し新技術を入手したとのことです」 基: 「ほう。新技術か それは実用化できるものか?」 RL(クグツ): 「はっ。あくまで“技術”であって まだ実用化に向けて試作研究を繰り返さねばならないレベルと── ところが、その研究ですが『アーコロジー』では行われていない模様です」 基: 「ほう。表立って行っていない──」 基は残虐な笑みを浮かべた。千早の影響下ならばさすがに表立っては手を出せないが、それ以外であるならば話は別だ 基: 「引き続き調査を続けろ。専用のチームを結成しても構わない」 もし、千早雅之すらいまだ持て余している新技術を手に入れ、自らの手で実用化させることが出来るならば スラムの片隅から拾ってきた雑種犬より自分の方が優れている証明となるだろう。 血統こそ全て。一流は血によって培われる。そう育てられてきた基にとって、自らの頭上に吊るされた刃こそ忌むべき存在であった。 基は、レミーマルタン・ルイ13世のボトルを開け琥珀色の美酒を 職人手作りのブランデェグラスに注ぎ込み掌上で転がしだした。 シーン:2 【カゲ】  舞台:『サロン・ドルファン』 退廃と倒錯、そして時代錯誤な貴族の館を思わせる場、それこそトーキョーN◎VAの闇を統べる“女大公”の城であった。 太夫: 「ごきげんよう“大公”。」 RL(アルドラ): 「ごきげんよう。実は貴女にひとつお願いしたいことがありまして」 ところで、ここで出すとしたら何がいい? ハヤト(P): ブランデー 全員爆笑 クレア(P): 今回は酒ばっかとびかいそうですね メタル: な〜に。まもなく血や悲鳴も飛び交う 全員失笑 シュポン 銀髪をたたえた身なりのよい執事が、品のよい彫金で縁取られた フルートグラスに黄金の泡を注ぎ込む ハヤト(執事): 「格別のお客様ということで、マムの“災厄前”ヴィンテージをご用意させていただきました」 RL(アルドラ): 「ありがとう。後は私がやるから下がっていいわ」 傍らの蓄音機が古風な調べを奏で続ける グラス1杯でプラチナムが飛びそうな希少な酒を味わいつつ アルドラは口を開いた RL(アルドラ): 「太夫には密猟者を狩って頂きたいの」 太夫: 「密猟者?」 蠱惑な笑みを浮かべつつグラスを置く。 グラスに残った朱の紅は血のようだ RL(アルドラ): 「ええ。このサロンの狩猟場で許可なく獲物を狩っている密猟者 獲物が減ったら貴方も困るでしょ?」 太夫: 「そうね。でもただとはおっしゃらないわね?」 RL(アルドラ): 「あら? 」 太夫: 「大公お気に入りの狩場での狩りにご同行させて頂きたいわ」 RL(アルドラ): 「それは高い報酬ですこと」 二杯目のシャンパンがグラスに注がれ、二人は艶やな、残酷な笑みをたたえながら乾杯した シーン:3 【クグツ】  舞台:BAR『ヤロール』 薄暗い“その筋”ご用達の酒場バロール “尖った”奴らばかりの一角を金属音を鳴らしながら一人の男が歩く。客達はチラリと騒音の主を一瞥し、あるものは興味なさげに、あるものはことさら無関心を装いながら視線を正面に戻した  その姿は金属というか、一昔前の映画に出てきそうな金属光沢剥き出しの“サイボーグ” ストリートでは“アイアンビースト”“クレイジー”“アイスナイフ” ──或いは“メタル・エッジ”と通称される殺し屋だった。  どうみても“気違い”にしか見えない男は予約された個室カウンターにドカリと座り込みいつもの飲み物を頼んだ メタル: 「──純アルコールのトニック。ドライだ」 ハヤト(バーテン): 無言で生鮮食料品消毒用アルコールのボトルを取り出し、1ショット トニックでフルアップし、レモンを絞る メタル: 3口で飲み干し一息つく 「──待たせたな。Mr…」 太夫: あんた、ほんと工業用アルコールネタすきだね 全員爆笑 メタル: 味覚ないから 全員爆笑 RL: クライアントは姿は見えませんが── “GS”とだけ名乗ります 全員爆笑 ハヤト: “GS”ですかww ※リプレイ『アリスタソアキバに行にいく』参照 RL: はい“GS”です。姿は分かりませんが、相当に立場のある人物に見受けられます メタル: 俺は博愛主義者だ。身分も貴賎も関係ない。 司政官だろうとストリートのガキだろうと金さえ払えば差別しない 「“GS”か、いいだろう。俺を呼ぶということは内容は大体予想がつくが」 RL(GS): 「破壊工作です。タタラ街の無管理地区に『C-TEC』と呼ばれる非登録の零細企業があります。 その企業が研究している新型サイバーウェアの研究データーを破棄していただきたい。端的に言うと、そこの真の経営者が製品を市場に提供できない状況にしていただければ結構です。 メタル: 「施設の人間は?」 RL(GS): 「機密にかかわる、或いは抵抗するなら殺害してください。 報酬は前金及び危険手当込みで1プラチナム 成功報酬1プラチナムです」 メタル: 「──相当な額だ。零細どころかどこぞのメガコンプレックスの濡れ仕事部門とみたが?」 RL(GS): 「臆しましたか?」 メタル: 「断ったら──エッジじゃないだろう。  純アルコールをショット、あとチェイサーでビールをジョッキで」 ハヤト(バーテン): 「──お客様。 ボイラーメーカーをされるなら“そういう店”でお願いします」 ※ボイラーメーカー:カクテルの一種(本当か?) 本当はテキーラをビールを注いだり、ショットグラスごとジョッキに落としたりする。アルコール度数差でビールが沸騰したように吹き出すことが由来 アメリカ大陸で労働者が安く酔っ払う手段としてビールにテキーラを注いだのが発祥と言われる(向こうは日本と違ってビールはミネラルウォーター並の値段で買える) シーン:4 【マネキン】 舞台:BAR『ガスライト』 ストリートには不釣り合いな古風な煉瓦造りの建物 それこそがウエットすぎていつ破滅するかという賭けが行われているフィクサー:クレア=ミッドウィルの城だ  そして、BARには不釣り合いな珍客が、これまた古臭い木製ドアに手をかけた クレア: 窓の外に降りしきる雨をみ続け一言 「──涙雨になるかしら」 全員爆笑 RL: いやいや、HO読んだからって先読み過ぎでショ カランカラン ドアに据え付けられた青銅製の鐘がアンティークな音を鳴らす ポタ ポタ  雨音が滴り落ちる。  その雨垂れの主はBARに入るには10年は早いだろう少年 そしてその身は泥水を頭から被ったかのように塗れている ──導き出される答えは クレア: 「墨田川を泳いできたの!?」 あわてて奥からバスタオルを取り出し身を包む 腐敗臭に鼻をしかめる客もいる そんな客に鋭い視線を飛ばし奥に案内する。 クレアにとって立場の上下は関係ない。そこには等しく“悩みを抱えた客”がいるだけだ クレア: 「僕、ここは子供が来るにはちょっと早い所よ」 RL(子供): キッとクレアを睨み 「子供じゃない!」 クレア: 「そう。それじゃお名前を教えてくれるかしら?」 RL: 少年は、カイと名乗り。とポケットから数枚のカッパーを出す 「誘拐されたお姉ちゃんを助けてほしい!本当はもっとあったんだけど── 泳いでいる時に貯金箱が割れちゃったんだ」 缶ジュースが買えるかどうかの小銭 しかしそれが少年の全てであった そして、クレアにとって金銭の多寡はこの際問題ではなかった クレア: オートメイションで風呂を沸かし、カイを促し風呂に押し込める その場に残されたのは、数人の客 カイが造った足跡 そして数枚のジャリ銭── カウンターに立ち、ウェブをONにする この瞬間、クレアとコネクトをもつ者には彼女の声が届くはずだ クレア: 「──依頼主はカイと名乗る少年。  内容は拉致された姉の保護報酬は──彼の全てを賭けたカッパー この依頼を引き受ける方はいますか?」 ウェブは沈黙した。 店にいる数名の客は気まずそうにグラスを一気呑みし始め帰る準備を始めた。 クレア: 数枚のカッパーを力無く降ろし (世界は変わった) ぽつりとつぶやく 5年ほど前なら、カッパーを片手にストリートを駆けずりまわる ボーイスカウトは沢山いた。 しかし、いい意味でも悪い意味でも世界は変わった。ゴールドやプラチナムが飛び交う仕事が当たり前となり、中にはウエットビズからニュースの一面を飾る機会もゼロじゃなくなった。  いってしまえば、「そんな割りの悪い仕事」を請ける必要はなくなったのだ 坊やたちは、大人になりクレアの下を巣立ってしまっていた RL(カイ): 「誰も請けてくれないの?」 奥からカイがひょっこり顔を出す クレア: 「大丈夫、大丈夫よ。今あったかいミルクをいれるわ」 回線を『ナイトワーデン』社社長室のホットラインにつなぐ 訂正しよう。 「坊やたちは巣立った。」その言葉は間違いであった クレアの人脈にはまだ一つ、“大人になれなかった子供”達の住処がいたのだった RL(ブロッカー): 「ごきげんよう、Ms.ミッドウィル。相変わらずお美しい 私があと10年若ければこのままデートのお誘いをするところだ」 クレア: 「社長、相変わらずお世辞がお上手で」 RL(ブロッカー): 「ふふ。私も独り身でね……。  さて、貴方が出てくるとなるとカブトの派遣ですか?」 ブロッカーは即座にエグゼクの貌になった。 クレア: 「ええ。護衛対象は私と連れです。期間は差し当たって1月としましょう。」 カウンターに出されたのは汚れた数枚のカッパー 「報酬の50%は御社に、残りはカブトの報酬です。  これだけ“高額の”仕事はそうそうお目にかかれませんよ」 RL: ブロッカーは一瞬驚き、悪戯を思いついた子供のように笑い出した 「参った!これは“高額”だ。   生半可なカブトには任せられない」 そういいながら 「ああ、私は“シルバー”でしか報酬は受け取らない主義でね。私には額が重すぎる。  代わりといってはなんだがご指名はありますか?」 クレア: 「“これほどの大枚”を任せられるカブトとなれば生半可なカブトでは── “愛染明王”、“龍鱗”、“夜の女王”も魅力的ですが…… ──“銀の腕”を」 “暖かい雪”が指名したのは“いつもの”であった。 RL(ブロッカー): 「──“銀の腕”か…」 ブロッカーは沈鬱そうに頷いた。 「彼とは──もう会わない方がいいだろう」 時は留まることはない。 そして信じていた人もまた変わっていくのだ シーン5:【ヒルコ】 荒木ハヤトのOP 場所:ナイトワーデン会議室 RL: 変則的に時間を翌朝にします。クレアも登場で クレア: (サメのように笑う) ハヤト: ハヤトをつぶしたキャラがハヤトを立ち直らせるか なんという皮肉 クレア: キャストは違いマスよー(鮫笑) 10年の月日は人を大きく変える かって、“白雪姫”と呼ばれたマネキンは“暖かい雪”と呼ばれるミストレスに かって、“剣なき騎士”と呼ばれた駆出しカブトは── RL: では、いいんちょがハヤトの前にきますよ 「荒木主任。ミッドウィル様が面会に来られて第三打ち合わせ室でお待ちです。」 そういえば委員長っていくつです? ハヤト: 「用件は?」 ん〜〜? (指を織り出す)二十歳くらい? 銀糸: 時代だな(しみじみ) 荒木ハヤトと呼ばれた冴えない三十男は、不慣れな動作でタップを操りながら契約カブトの査定書類を打つ手を止めた。 RL(委員長): 「カブトの斡旋依頼と承ってます」 ハヤト: 「誰か代わりにいってくれ」 とバツの悪そうな顔でいうよ RL(委員長): 「ぜひとも主任と面会を望んでおられますが?」 いい加減にしろ、この“オッサン”という顔が隠せない 全員爆笑 メタル: 今のナイトワーデンに荒木ハヤトという人物の素性を知る者は少ない。 ほとんどが社長の縁故で採用され、義理で捨て扶持をもらっているお荷物と思っている  もっとも、“彼”を知る者ならば 激しい嫌悪と侮蔑の視線を向けるだろう。 ──憧れて追いかけていた“伝説”の行き着いた先に 全員爆笑 銀糸: なにその過剰アピールw ハヤト: ぐはっなにそのアピール ジョニー: 僕もそこまで罵倒されたいww クレア: 「──お久しぶりです。ハヤトさん」 その瞬間、クレアは金槌で脳天を殴られたような衝撃を受けて 椅子から崩れ落ちかけだした。  くたびれた安物のスーツに身を包み、寂しそうに笑う彼には、カブトとしての誇りも自信も感じられなかった。  そして、門外漢のクレアでも悟ることがあった。もしかしたら彼は初めてであった時よりも弱いのではと ハヤト: 「お久しぶりです。Ms.ミッドウィル」 クレア: 「一体──何があったのです」 中の人は笑いをこらえるので必死です ハヤト: 素敵すぎるな 「私は──もうカブトではないのです。ただのオヤジです」 クレア: 「何があったのですか!!」 ハヤト: 「我が身の不徳です。   ──“銀の腕”は本当に都市伝説になりました」 クレア: 「貴方はそんな甘ったれたことを言う人じゃないでしょ!」 〈応援〉 RL: OPでカード回さないでくださいw まあ今回は認めますけど クレアの言葉で沈黙が部屋を支配した ハヤトが口を開くには数分を要した ハヤト: 「──怖いんです。」 クレア: 「怖い!?」 ハヤト: 「この手で砂をつかもうとしても、私の不徳からみんな掌から零れていってしまう」 クレア: 「傲慢です! それでも指先に砂の一粒位は残るでしょう!」 ハヤトにとってそれは大凡想定された言葉であった そして、いつか似た言葉を自ら言った気もした だからハヤトは想定済の返事をした。血を吐くように ハヤト: 「──もし、その一粒の砂が自分から飛び降りていったらどうします?」 ニューロエイジの言葉によれば 人は3つのスタイルと呼ばれる顔を使い分けるとされる 仮面、本質、陰 たとえ1つを否定されても別の側面で代償追補することができる だが、荒木ハヤトはカブトであり、カブトなのだ クレア: 「奥様はどう言われています?」 ハヤト: 「何も言いません」 クレア: 「これを見てください」 机に出されたのは泥だらけのカッパー クレア: 「ストリートの子供が命懸けで運んだカッパーです。  エグゼクが道楽で撒き散らすプラチナムに比べれば、なんと価値があるでしょうか」 それは、かっての“彼”が、自分に向けて行った言葉 ハヤト: 「今の私には、そんな高価な代価を受け取ることはできません」 クレア: 「ある少年のお姉さんが誘拐されたそうです。  こんなに“価値ある”報酬を積んでも誰も引き受けようとしな い。 誰も受けないなら、私が受けることにしました!  このN◎VAにも一人くらいバカはいます」 ハヤト: 「あまりにも無謀だ」 クレア: 「だから、身の安全を得るためにカブトを雇おうと思った訳です ──貴方も“つまらない大人”になってしまいましたか?」 シーン6:【カブキ】 荒木ハヤトのOP 場所:自宅 RL: あれ?立ち直らないの? “固ゆで卵”? 基: ほんとうに負けプレイが好きですね メタル: で何してほしいの? 太夫: まかせろ!! RL、舞台はハヤト自宅。シンシア(ハヤトの嫁)をドミネート 「ハヤトさん。仕事でなにかありましたか?」 全員: し、師匠が動いた!! 太夫(シンシア): 「みんなが巣立ってから、浮かない顔ばかりですよ」 ハヤト: 「シンシア、──君は…今の私を軽蔑するか?」 太夫(シンシア): 策士は選択肢をすべて排除した上で、相手にそれを選ばせるといってね 「私は、貴方に救ってもらい今います。カブトである貴方を誇りに思っています。 でも、こうも思うんですよ。貴方は傷つきました。もう休んでも誰も文句は言わないと思います」 「私は貴方がどういう決断をしてもついていきます」 全員爆笑 RL: すべての選択肢を目の前で削除した上でドヤ顔されましても 答えは最初から分かっていた。 ただ、ハヤトは傷つき過ぎて立ち上がるには人より多くの時間と介助が必要だったのだ 翌朝、ハヤトは仕事用のクローゼットを開いた 防弾コートが新調されていた 太夫(シンシア): 「“銀の腕”が痛んだ衣類じゃ恥ずかしいですよ」 ハヤト: クリスタルウォールを手に取り 「──今の私は君を助けたころの私よりも衰えているかもしれない。 それでも、まだ……戦える」 燻んでしまった銀は、よりすぐれた珍品足り得るか? それとも、ただの駄品なのか?  ただひとつ。銀の信念だけは曲がっていなかった。