挨拶に代えて

 

Cast the ”First−Stone” (最初に石を投げる者)
―― 『新約聖書』 ヨハネによる福音書

 「【カブト】、前ほどつかえんようなった……」 

良く聞く言葉です。 正確には、『2ed』と比較して、よりゲスト向きのスタイルになったということでしょう。
どの辺がと言うと、ルールの改正により、大きく見て「3つ」の欠点が見えてきているからです。

  1. 経験点が貰いにくい
  2. 【カブト】自体では、戦闘でやることが余りない
  3. ジリ貧である(金がかかる)

 まず、一番の点についてですが、今回は「登場すればするほど経験点(最大3点)がもらえる」事になっています。 では、何故経験点が貰いにくいのか!?
 理由は、専業【カブト】として生きていく以上、護らなければならないスタイル(生き方)があるはずです。 それは、『クライアントを危険に晒さない』ということです。 早い話が、クライアントの側から離れないということでしょう。 となると、リ・サーチになかなか登場できません。
 頭のいい(”バサラ”な)ルーラーは、【カブト】がクライアントと離れて出かけた次のシーンに
襲撃をかけるでしょう(いや、多分かける)。 このとき、カード廻りがよろしければ何の問題も起こらないのですが、手札が悪い日には目も当てられません。特に、初期キャストなどには、よくある風景だと思います。 勝手に”皇帝”などを名乗る私ですら、初期のころ、クライアントが襲われてるのに舞台に出られなかったという悲劇を起こしています。(例のハヤト君ね)
 仕方がないので、往々にして舞台裏で、「クライアントの警護をしています」というシーンが増えると思います。(これで、舞台裏アクションなのだから、リサーチもできない)
 時々、襲撃や警護のシーンが起きたとしても、数回有ればいい方でしょう。少なくとも他のキャストより多く登場できるのは稀でしょう。
 次に、2番ですが……。【カブト】自体での攻撃技は〈護身術〉しか無いという点でしょう。流石に、防御系は言うことはないのですが……。 トループを相手取るにしては十分だとはいえ、敵がゲストだと話は変わります。 おなじみの、
『攻撃は当たるけど、ダメージにならない』という、かなり虚しい現象が起こります。「2ed」時代は、HP制の戦闘でしたので、”ダメージは少なくてもいいからやらないよりマシ!”という利点があり、【カブト】(正確には戦闘に適さないキャスト)もまだ救われてました。
 ただし、今回は「ダメージは累積しない(少ないダメージを連続で与えても意味がない)」チャート式になったため、一桁ダメージを出しても、ほとんど意味が無くなりました(テクニカル的思考)。
【カタナ】【チャクラ】【カゲ】【カブトワリ】といった、戦闘に適したスタイルを持っていれば、話は別なのですがね……。(「2ed」程ではないですが、相変わらず”差分値上乗せ”は強力です。 というか、これなしで戦闘系ゲストを肉体的に倒すのは、かなり酷です)
 第三に、ジリ貧である点としては、ボディガード(或いは”動く壁”)として、矢面に立つ以上、ダメージを被りやすいと言う点です。 そして、極めつけに外界が低くなりやすいため、報酬点が足りなくなりがちであるという点です。 終いには、自分で”受けたダメージの治療費”すら払えなくなります……。
 無論、アクトが終われば回復はしますが…。では、クライマックス以外の場面で負傷した場合はどうでしょうか?

『死なないなら、ペナルティのない傷は放っておいてもいいや☆』

そんな、テクニカルでいいのでしょうか?
特に、腕や眼球を潰されたままで、盾がもてるでしょうか? ルール的な制約がないからといって、片足や腰部が砕かれたままで、クライアントを守れるのでしょうか?
(私は、何度もこの事態に陥り、暫く借金地獄に苦しみました)
 では、ここまで欠点が挙げられる【カブト】を何故私は推すのか? それは、ただ一言、

『格好いい』からであります。 身も蓋もない言い方ですが、『信じられるのは、”自分のみ”』というアーバンアクションの世界で、自らの命を盾に変えて誰かを護るのってシブイと思いませんか?

 ……、とりあえず、私の戯言はこの辺にしておいて【カブト】の生き方について少し考えてみませんか?

 

”皇帝” 金川 仁


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