●リサーチシーン

 
シーン:04  昼下がりの中庭で
場所:輝明学園T山分校中庭
 
休憩時間、大地は友人達に詰め寄られていた。
 
真名(友人A):
「おい、遠山! 高円寺さんとはどういう関係なんだ?」
 
GM(友人B):
「お前には、逢坂さんがいるだろー! ふたりも持って行く気かよー?」
 
大地:
「違うよ! 彼女とは、偶然…道案内しただけだ! ……大体、比奈とは“幼なじみ”なだけだ!!」
 
比奈:
「あわわわっ! そうだ、大地君お弁当っ!」
 
GM(友人B):
「おっ! 愛妻弁当か、隅におけないなぁ」
 
真名(友人A):
「ヒューヒュー」
 
大地(P):
というか、なにげにいじめじゃないかw
「と○ハ」では絶対こんなことないぞ!!
 
真名(P):
ゲームだからな。あんなに“両手に花”状態で誰も皮肉をいわないのは……
――――――それは、幻想だ。
 
GM:
まあ、マテ。では、緩和剤の先輩をつくろう。
 
真名(P):
まて、『ナイトウイザード』で名前付きNPC(レギュラー)といえば…
 
GM:
キノセイダ。
名前はそうだな……。曾根崎克也(そねざき・かつや)、大地の通っていた剣の道場の
息子ということで
 
大地(P):
何!? そうなのですか 何も考えず、メリットと萌だけで選んだのです!!
 
真名(P):
おまえー、日本刀を“斬れる”ように使うのが、どんなに難しいか知っているのかー?
殴ればいい、ロングソードといっしょにするなよ!?
 
大地(P):
じゃあ、その道場の門下生で……
 
GM:
そうだな……いや、それじゃあつまらんなぁ……。
君は、昔は道場に通っていたが、今は何かの理由で休んで居るんだ!
 
大地(P):
なんですと!? 武道経験者の金川さん、何かいい知恵は?
 
真名(P):
私の体験談でいいのか? 
では、真剣で型をやっている際に、タイミングをずらして相方を切ってしまったのだ!! それが、心のトラウマになって…刃が持てなくなった。
 
大地(P):
うわーー! かっこいー それ採用
 
真名(P):
(相方斬るなんて、恥以外の何者でもないのだがなぁ〜)
 
GM(克也):
「――――よう、旨そうな弁当だな。欲しいなら素直に言えばいいじゃねぇか。
一つ俺にも分けてくれよ」
と、いつの間にか。混ざっている。
 “先輩”の登場で、友人(?)達はばつが悪そうに引っ込んでいく。
 
 
 
 
シーン:05  同刻、中庭…
場所:輝明学園T山分校中庭
 
 そんな喧噪の片隅で、高円寺真名は携帯電話をかけていた。相手は前の学校の友人でも何でもない……『魔法使い』達のネットワークだ。
 
GM(電話の相手):
「――――表沙汰にはならないようにしているが、現在『呉羽山』山麓内で行方不明者が続出している。ちょうど、5日前程からだ。
夢使いによる調査では、山麓内に『月衣』の反応が見られた。」
 
真名:
「――――昨夜、低級の“クリーチャー”を目視、撃破した」
 
GM(電話の相手):
「“エミュレーター”が存在している。速やかに探査し撃破せよ」
 
 
真名:
「―――了解」
 
Pi...
軽快なビープ音と共に、0-Phonが切れる。
数瞬の後……
 
真名:
「―――呉羽山って、どうやったらいけるの……?」
昨日行った場所すら…忘れていた。
 
 
 
 
シーン:05  癒えない疵(きず)
場所:輝明学園T山分校中庭
 
大地と比奈、そして克也先輩の三人は、いつものように比奈の作った“お弁当”をつついていた。
 
 
GM(先輩):
「しかし、あの高円寺って娘……ありゃ、ただもんじゃないぞ(もぐもぐ)」
 
大地:
「え!? 先輩…わかるんですか!」
タコさんウインナーに手を伸ばしながら…昨夜の光景が脳裏に趨る
 
GM(先輩):
「スゲー、いい女だ。 俺は、ああいった線の細いのがタイプでなぁ…」
 
比奈:
「曾根崎先輩っ!」
 
GM(先輩):
「冗談だ冗談! 俺も、比奈ちゃんのことは心からかわいいと思ってるぜ」
 
※愛多き男、曾根崎克也。 でも、この男は只の軽薄な男じゃないようだ
 
GM(先輩):
「――――というのは冗談で、あの子。何かの武術でもやってるのか? 
まるで、調律された『機械』のように無駄な肉が一切無い。そう…まるで、一瞬に全てを賭ける、“チーター”だ。 
……持久戦には向かないだろうが、奇襲や強襲といったな電撃戦だったらかなりの腕だぜ…ありゃ〜(ずずずず…)」
 
大地:
「一瞬でそれだけ見抜くなんて……」
でも、昨夜の出来事を云っても信じてもらえるわけがない
 
GM(先輩):
「――――話は変わるが。 大地、俺の親父が心配しているんだ。たまには道場に顔を見せてくれ。」
 
大地:
「………俺、怖いです。 人を傷つけることが…」
 
GM(先輩):
「大地。 ――俺は、お前に斬られたことなんかこれっぽっちも気にしてないぞ」
 
大地:
うわっ、“先輩”を斬っちゃったんですか!? 
燃えるーー!
 
比奈(P):
なんか、ここだけ妙に『3』なのですけど……
 
GM(先輩):
「剣は、人を傷つけるだけの道具じゃない。……道を切り開くための羅針盤でもあるんだ」
 
大地:
「…………」
 
GM(先輩):
「――――大地。お前の心の中に、譲れない思いはあるか?」
 
大地:
「…………わかりません」
 
GM(先輩):
「悪りぃ、飯がまずくなるな。 
――――俺はお前と真剣で立ち会える日を何時までも待ってるからな」
 
 
 
 
 
シーン:07  放課後、超☆問題発言
場所:輝明学園T山分校2-B
 
キーンコーーンカーンコーーーン
キーンコーーーンカーーーーンコーーーン♪
終業の鐘と共に、みんなが一斉に席を立つ。 ある者は部活動に、ある者は委員会に、
そしてある者は…余暇を楽しみに………。
 
真名:
では、おもむろに大地の席の前に行きます。
そして、相手の反応すら確かめずに…一言。
「――――――付き合って欲しい。」
 
全員 大爆笑
 
GM:
デンパキターー
 
比奈(P):
(腹抱えてる)流石、金川さん!!
 
大地(P):
何で、そういうオイシイネタをだすかなぁー
 
GM:
まあ、金川さんだし……
 
金川(P):
なんだとぉ〜!?   ……速くリアクションしろよ
 
GM:
では、その瞬間……教室中がざわめき出す!
そして、中には殺気を放つ輩もいる
 
比奈:
私も、あわてて見せようw
「あやややや!!」
 
大地:
「あ……あの………高円寺さん!?」
 
真名:
「呉羽山への行き方が解らない。案内して」
くいっと袖を掴んで、ひきづっていこう
 
※おい、【筋力】6!! そんなことできるのか!?
何度も言いますが、高円寺真名は、『強化人間』のくせに…魔法戦に特化した恐ろしい作成をされてます。後衛から射撃を行う分には、アーキタイプの『強化人間』より命中率が高いのですが…、魔法に能力値を割いた結果…【筋力】と【HP】が極端に少なくなり、装備重量と耐久性に難がある…カミカゼ機となってしまったのです!!
 
GM:
クラス中は…ざわざわざわと騒いでいる。
「あれって、告白か?」
「いや、どうみても……違うだろう」
「道案内か?」
「しまったぁぁぁ!!」
 
比奈:
「あややや……」
オロオロしながら、二人の後をつけていきます
 
 
 
 
シーン:07  動き出した歯車
場所:呉羽山公園
 
桜舞う、呉羽山山麓にある公園、赤い夕日に照らされながら二人は歩んでいた。
端から見れば、カップルのようにも見えなくもない……だが……実情は………
 
真名:
キョロキョロしながら、エミュレーターの気配を探ってます
 
大地:
「あ、あのー高円寺さん」
 
真名:
「………呼び捨てでいい。」
 
大地:
「じゃ、じゃあ…高円寺………そうじゃなくて!
お前、なにやってるんだよ!?」
 
真名:
「――――世界は、狙われてるの」
って、これは『勇者』の台詞だろ
 
大地:
まだ、目覚めてない。
「え? どういうこと?」
 
真名:
「世界は、昨夜みたような化け物…“侵魔(エミュレーター)”の侵攻を受けてるの。
彼らは、人間が持つ“プラーナ”と呼ばれる生命エネルギーを収集する事を目的としているの」
 
大地:
「よくわからないけど……、人の魂を喰う化け物が居るって事?」
 
真名:
「……大体、そんな感じ。
“侵魔”は、『月衣(かぐや)』とよばれる結界で護られていて、物理的な攻撃はいっさい受け付けない。
 ――――戦えるのは、『魔法使い』の適正を持つ者のみ」
 
大地:
「………高円寺………、君のような?」
 
真名:
「――――私は、“侵魔”と戦う為に、後天的に調律された紛い物の『魔法使い』。
最も効率よく“侵魔”を狩る為だけに育てられた……『強化人間(キリング・マシーン)』。」
 
大地:
「!? そんな……」
 
真名:
「――――気にしないで。私はそのために産まれたのだから」
鬼だな私。 まあ……これで逃げれなくなったぞ(邪笑)
 
 
比奈:
実は、そばの木の陰から…二人の様子をじーっとのぞいています。
真剣な二人の表情に…“いらぬ”誤解をして、びっくりして木に頭をぶつけます!!
 
全員 爆笑
 
 
真名:
「――――――誰?」
 
比奈:
「あややややっ!!」
 
真名:
「……聞いてたの?」
無表情に歩み寄る
 
比奈:
「高円寺……さん?」
 
真名:
無言で、懐(『月衣』)から“箒(エンジェルシード)”をとりだす!!
 
比奈:
あまりの“非現実さ”に、思考がストップして尻餅をついたまま。チワワのように震えています
 
真名:
「――――大丈夫、痛くしないから…」
ガシャコンと音を立てて、弾頭を薬室に装填する
 
※まて、“一般人(じゃないのだが…)”に『魔法使い』の力を振るってはいけないのでは……
 
大地:
「ま、まてよ!! 比奈がなにをやったってんだ!?」
 
真名:
「“一般人(イノセント)”に『魔法使い』の存在を知られるわけには、いかないの」
そして…トリガーを絞り……
 
キュゥゥゥン!!
 
激しい電磁音と、突き抜ける衝撃…“箒”専用のケースレス弾は…比奈の横を掠め
背後に迫る、“クリーチャー”を打ち抜いた!