それから一行は、再び乃木病院にかつぎ込まれることとなった。 ジャリ銭1枚の儲けにもならない“アダウチ”のとばっちりをうけた『絶対妄想動物園』にとってこの出費が一番の痛手となった。 『正当なる日本』は『絶対妄想動物園』の臓腑をえぐったことだけは確実である。  そしてこれが最終楽章の幕開けでもあった。 「オノレ、ゴールドマン!  “志士”ノ正々堂々ノ“立合”二、鉛弾デ応エルトハ!」 「最早、“カミカゼ”ヲシテデモ奴ヲ“チドリガフチ”ニウメネバ 『正当なる日本』ノメンチに関わるネ!!!」 「デハ、我コソトイウ“モノノフ”ハ オラヌカ!?」 時代錯誤な大鎧を着た偉そうな一団に沈黙が訪れる 「盟約とは有象無象が傷をなめ合う仲良しサークルか?」 どこからか狂気じみた嘲笑が木霊する 「ナニヤツ!?」 「武士ヲグロースルト “打ち首”ニスルヨ!」 「ここだ」 気配が、一番偉そうな男の背後に現れた。全員が殺気立ち腰のサムライブレードに手をかける。 大鎧に打刀を指してる出立ちに疑問を感じるものはだれも居ない。 「まて、争いに来た訳ではない。俺も宮子には恨みがある。  手を貸してもいい」 「ゲロー、水産ナリ!!」 大鎧に面をつけた幹部らしき男が履刀を抜き放った 刀にはネズミーマウスの彫刻が彫られて居た 「コノ、“サルトビサスケ”ノ打ッタ名刀ノ、ラスティ二ナレルコトヲ、靖国で誇れ!」 そう言い終えた瞬間、幹部の首が地面に落ち血飛沫が舞う 「Oh、“ムサシボウ”ゲイリーガ!!」 「──どうだ。俺と手を組むか?」 ギロリと狂気に満ちた瞳が大鎧を着た一団に向いた 「まったく、あの『乃木医院』には困ったもんですね! お金は払うんだから入院させてくれてもいいでしょ」 「オンムちゃん。一応あそこは動物病院だから」 重傷を負った一同は『乃木病院』にかつぎ込まれた後、一番快適な本田家で静養していた。 「あ、兄さん。私は桃缶でお願いします」 「ったりぃ。何で俺が」 「兄さんが、唯一無傷だからですよ」 ぶつくさ言いながら、アキラは冷蔵庫から桃缶を取り出した 「じゃ、兄さん。 “あーん☆”」 小鳥のようにかわいく口を開ける パクッ それを宮子が横取りした 「アッー!!!」 「そういうことは、彼氏としましょうね。オンムちゃん☆」 私こそ彼女。宮子は暗にそう宣言したのだ (しかし、クノイチの持つ籠絡術は、既に見習いました) オンムは洗脳された振りをしながら、ジェーンが持つ色事の秘術を見て居たのだった。 (まずは、第一手) 「ねえ兄さん」 フォークを宮子の口に居れたまま硬直したアキラの耳元にそっとささやく 「友達の雫ちゃんから教わったんだけど──  兄って普通は妹で【童貞】を捨てるものだそうですよ?」 何かの歯車が狂い初めて居た。 オンムの脳内では、しばらく前にあった学園内での乱痴気騒ぎはなかったことになっていた。 そしてアキラは 「かったりぃ」 元来孤独を好む男らしく“濃い”人間関係に癖々し始めて居た。 「おいおい、ここはエロゲじゃないんだぜ?」 花火大会からお持ち帰りした男の娘を胡座した股の上に乗せながら阿部さんはこのチームの終わりの始まりを肌で感じて居た。