「姪御さんが、お見舞いにこられました」
テオの診療所で療養している月代一馬は、それに応じてベットを起こした。
護衛の揚とエリザに付き添われ、『TMS』会長である月代めぐみが見舞いに来た。彼女自身も、TMSビル倒壊の生傷が痛々しい。
 
「叔父さん。先ほど、セニットから正式に通達がありました。 『TMS』の内部査察が行われるそうです。
監査主任は、あの雪雅代だそうです」
月代一馬は、息を呑んだ。相手は我が社を掌握しようとしている張本人である。監査主任ならば、報告書を好きなように書き換えることが可能である。
適当な理由をつけ、『TMS』を営業停止にすることはたやすい。
「セニットの命令となれば、拒否はできないか…」
一馬は苦渋に満ちた表情となった。どのような手段を用いようとも後手にしかならない。
その場にいる人員の表情が曇った。
 
「――一つだけ、方法がないこともありません。」
いままで、沈黙を保っていた倉敷が口を開いた。
全員の視線が倉敷に集中した。意図したことを察し、クロウは息を呑んだ。
 
TOKYO NOVA-D to Play.By.E-mail
[第2回:1/2Moon-others.膝枕の誘惑]
 
 
「その方法とは、どのような事でしょうか」
「……形の上だけでも、『TMS』が『千早』の傘下に入ることです。
そうすれば、非公式にしか行えなかった援助を、公に行うことが出来ます。」
方法は、劇薬であった。診療所の狭い診療室が更に狭く感じた。
 
「承けがたいことは、重々承知です。
しかし…これ以外に『TMS』をまもる術は、私には見いだせません。特務査察官殿は如何でしょうか?」
クロウは首を横に振る。
「誇り高き死と、痛みを伴う生……。部外者の私には私見しか述べれませんよ」
片割れにいるアルクルは興味なさそうに欠伸をした。
 
「私は……どうするべきでしょうか?」
窓際に立ち、めぐみは誰彼と無く訊ねた。
天空の半月は黙して何も答えなかった。
 
 
■オプション
このアクションをうけとった正規の送信者は月代めぐみ、あるいは月代一馬に対し、アドバイスを行うことが出来ます。
参加者の賛否+一馬・めぐみの意見で、TMSの今後の対応が決まります。
アクションに記載がない場合は、権利放棄と致します。
 
■送信者
・揚紅龍
・クロウ=D=G
・鈴希
・テオフラストゥス=カルマ

Back