『サロン・ド・ドルファン』、月代めぐみの私宅……奇しくも【アヤカシ】の拠点にて同時刻、人が求めては行けない妖の法の
伝授が行われていた。
 
「あ、ところで事がうまく運んだ暁には僕にも報酬を戴きたいのですが。
つまり、そもそもの発端になっている『不老不死の方法』です。
そんなものはない、といわれるならそれまでですが……しかし倉敷氏がここまで行動を起こしたからには、それに類する
技術があるのでしょう。それを教えて戴ければ、と」
フリュウの言動に、周囲の視線が集まった。
「ところで、“大公”さんよぅ。“不老不死”って夢物語で、【エグゼク】が動くのかよ」
リョウジは、杯に満たした酒を舐めながら、N◎VAの深淵に問うた。
 
『知って、どうする…つもりですか?』
『ふふ…知りたいの?』
二人の【アヤカシ】の長が、好奇心旺盛なる嬰児に問うた。
 
「え、何に使うのかって? まさか、使いませんよ。確か昔の日本の神話にあったと思うのですが、僕は、磐長比売命よりも
木花咲耶姫神の方が好みでして。
それに、僕の本業はトレジャーハンターですよ? 使わぬ宝、使えぬ宝でも、見るだけで価値がある、というものもある
……そういうことです」
「俺はなぁ…火遊びがすきなんだよ」
 
二人の【アヤカシ】は瞳を閉じる。
『“不老不死”というものは誇張された幻想……。さながら、“人魚の肉”のように。
――――ただし千年の命を得る方法は存在します。』
「それは…!?」
好奇心の従僕は唾を飲み込んだ。
 
『【アヤカシ】の〈始祖〉、即ち…私の伴侶となることです。』
紡ぎ出された言葉は、恐るべき事実であった。
 
『勿論、両者の合意によるものでなければならず、契に解約という言葉はありません。
解約すれば、時は正常に紡ぎ出します。 ほとんどの場合、それは…“死”。』
そういって、アルドラ=ドルファンは杯に満たされた紅の液体を飲乾した。月代めぐみは、言葉を続ける。
 
『…ただし、【アヤカシ】ならぬ人の身に降りかかる老いを止めることは出来ません。百年余を超えれば、
身体を動かす事も考えることも叶わなくなる…。そんな、死よりも孤独な千年を超える生を…貴方は望みますか?』
フリュウは、答えられなかった。
リョウジは、実に興味深そうに酒を飲み乾した。
 
 
TOKYO NOVA-D to Play.By.E-mail
[第4回:No_Moon-Otheres. 無明宵舞]
 
 
■特別アクション
04x-1:“不老不死”に到る秘鑰を授かる
※この特別アクションは、下記の送信者のみ使用できます。
(送信者から、情報の提供を承けた場合は可能とする)
 
 
■送信者
・フリュウ
・山本リョウジ
 

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